学生時代
化学の中でも私が専門としていたのは「有機合成」という分野で、主に触媒の化学反応に関する研究を行っていました。そしてその最終目標として、医薬や農薬の中間体を効率よく製造するにはどのような化学反応が適切なのかということを探っていました。
就活時代
勉強したことが生かせる化学系メーカーの研究開発職を志望し、最終的には当社を含めた2社から内定を得ました。日本ピグメントを選んだのは、生活を彩る多様な“色”を創造する企業であること、また、先端分野の研究を行っていることが決め手となりました。
現在
液晶ディスプレイ用のカラーフィルタに用いるレジストインキの原料である「液体顔料分散体」の設計開発を手掛けています。お客様の用途に合わせて一つひとつカスタマイズするとともに、ラボから製造ラインへのスケールアップなどにも取り組んでいます。
日本ピグメントは、樹脂コンパウンドやマスターバッチといった合成樹脂加工、合成樹脂用着色剤の製造を得意分野としています。近年、これら主力製品以外のジャンルでも存在感を発揮しており、中でもテレビやスマートフォン、パソコンなどに用いられる液晶画面の“色”を表現するのに欠かせないカラーフィルタの製造に使われるレジストインキ用原料の「液体顔料分散体」は、着実にシェアを伸ばしつつあります。
私は入社以来、レジストインキ製造メーカーをお客様とするこの顔料分散体の研究開発に取り組んできました。
お客様の要望に合わせて、私たち開発者は顔料分散体を一つひとつカスタマイズし、お客様が求める仕様で設計するという仕事に携わっています。
設計開発検討は小さなラボ設備で行いますが、工場での量産段階でもラボスケールと同じ品質が再現できるように緻密に調整することが開発者の重要な役割となります。顔料分散体づくりの上流から下流まで深くかかわるだけに、勉強しなくてはならない事柄は多々あります。難しい仕事ではありますが、総合的な視点からものづくりにかかわることができるのは、一人の研究開発者としてやりがいにあふれていると感じています。
私が初めてお客様を担当し、顔料分散体の設計をするようになったのは2年目の秋のこと。実は初案件では、途中で不具合が見つかってしまうという苦い経験をしました。製造現場から不具合の一報を聞いたときは焦りましたが、愕然としているだけでは何も問題を解決しません。先輩の協力を得ながら検証・分析を経て、なんとかリカバーできたときは安堵感を得ると同時に一人の開発者として自信をつけることもできました。
以降は担当案件数も増え、海外メーカーなども任せてもらえるようになっていきました。液晶分野は開発競争が激しく、特に世界のトップ争いをしている海外メーカーは、矢継ぎ早に新しい技術を世に送り出しています。当社に対しても、お客様から迅速な納品やハイレベルな品質保証を要求されることがよくあります。
そんなとき、一人の力ではなかなか解決できない問題も、部署のメンバーで知恵を出し合うことで、乗り越えていくことができるのです。みんなで力を合わせてお客様に満足していただける結果を導き出せたときの充実感は、非常に大きいですね。
顔料分散体や液晶という分野は非常に奥が深くて、常に新しい知識や情報に敏感でなければなりません。だからこそ、日ごろから国内外の技術情報にアンテナを張ったり、社外のセミナーなどに参加して、自分の視野を広げていこうと努力しています。目指すところは、手ごわいライバルが存在する色材において、当社が勝てるような技術を実現すること。そのためには、私自身がいっそう成長をすることが何よりの近道です。これからも弛まぬ自己研鑽をし続けていこうと思っています。
一口に化学メーカーといってもその強みは多種多様。自分の研究領域ばかりにこだわるのでなく視野を広げて、
新たな可能性を探ってみてください!
※このインタビューは、2017年2月時点の取材内容に基づきます。